2020Sep北海道10Days DAY03-No.1 異文化への旅


札幌市内は朝から雨模様。
朝7時には起きて、iPhoneでせっせと道内各地の天気を調べていた。

今回のツーリング 、道内は7日間。あまり時間に余裕はない。
イクラやカニをたべて無料の温泉に飛び込んで安宿でダラダラ過ごすような若い頃を思い出すツーリングもよいが、今回はアイヌ文化をたずね、ロシアとの交流の歴史をたどる、つまり異文化にすこしでもふれて理解を深められるような、そんな成熟したオトナのツーリングにしたい。

というのはタテマエで、やはり道東の海沿いで美味しいものをお腹いっぱい食べるのが主な目的のひとつであったりする。

フェリー内で練っていたプランでは道内初日は静内・襟裳岬経由で帯広あたりまで行くつもりだった。苫小牧ちかくの白老町に今年の7月にオープンしたアイヌ文化施設「ウポポイ」に立ち寄ってから、新ひだか町の「アイヌ民俗資料館」のある真歌公園とそこにあるよく分からない理由で近年新しく建て替えられたという「シャクシャイン像」などを見て襟裳岬から北上して帯広へ、という案であった。

北海道にはバイクでは20回ほど来ているはずだが、道内各地に点在するこうしたアイヌ関連の施設にはあまり立ち寄った覚えがない。単に興味がなかっただけのようにも思うし、あるいはなにか漠然とした後ろめたいものがあったのかもしれない。はたまた妙にキレイなアイヌ関連施設の背後になにかキナくさい存在を 感じていたような気もする。

たまにアイヌ関連の施設に訪れてみても、そこでの案内では「アイヌ」と「和人」は敵対関係にあり「自然と共に生きる心優しきアイヌ」が「獰猛残虐で騙まし討ちをする卑怯な和人」に「一方的に侵略」された、というようなわかりやすいといえばわかりやすい、白か黒かという安易な二項対立で説明されることが、その頃は多かったように思う。


さてこのウポポイ。
たしか以前は「白老ポロトコタン」というポロト湖の湖畔にひっそりとたたずむ施設だった。もともとこのコタンの住人はもう少し南の日高のあたりに居住していた、和人とは「協力関係」にあったサル ウン クル(沙流川に住むアイヌ)系統の人たちが移住して出来たコタンだった。たしか 今から130年ほど前に 明治天皇もこの白老コタンに訪れて一泊、当のアイヌの人々は最高の儀礼「熊送り」で明治天皇を歓待したという。

その白老ポロトコタンが今年の7月に「民族共生象徴空間」という肩書きがついた巨大な施設に生まれ変わった。近年頻発した台風や地震の自然災害で道や橋などのインフラに大きい被害を被った北海道で、どれほどの予算が割かれたのかは、まぁ一介の単なる旅行者の知るところではない。

不覚にもその「ウポポイ」が感染症対策のため事前に予約しないと入れないということを当日の朝にiphoneではじめて知る。しかも当日の予約はすでにいっぱい。いきなり予定は変更になってしまった。また次回訪れよう。何年後になるだろうか。

それにしても、人数制限のある予約制の観光施設なんて僕の経験でしりうるところでは、ポーランドにあるアウシュビッツ収容所やバチカンのシスティナ礼拝堂、パリのルーブル美術館、スペインのアルハンブラ宮殿くらいだ。いくらコロナ対策とはいえウポポイにそれが必要なほど人が集まるとは思えないのだが。


いきなりの予定変更と強まってくる雨に出鼻をくじかれてしまい、札幌市内の常宿でウダウダと時間をすごしていたが、ようやく10時過ぎ、入念にカッパを着込んで出発する。向かう先はやはり南。アイヌのふるさと日高方面をめざして札幌北ランプより高速道路に乗り、いよいよ旅ははじまった。

Day03-No.2につづく

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