寝台で目をさますとすでに朝の8時だった。
洗面所で顔を洗い歯を磨いているとほのかに体がフワフワする。どうやら数日前に過ぎていった台風の影響で海はすこし波があるようだ。
給湯室で水筒にお湯をつめ、持参したお茶と一緒に甲板で朝食のピロシキを食べる。一晩たっていたので外側のパンはすこし硬くなっていたが、中の具は格別だった。
持参した本を読んでは寝、食っては寝、お茶飲んでは読んで、を繰り返しているうちに、あっという間に夕暮れの時間に。いつしか船の揺れは収まっていた。海に沈む夕陽は雲に覆われて見ることが出来なかった。
なお持参した本はこちら。
海保嶺夫「エゾの歴史」講談社学術文庫。2006年出版。
舞鶴での出航は一時間ほど遅れていたものの、小樽への接岸は定刻どおりだった。フェリーを降りるときのこの感覚も、よい。いつごろからだろうか。長距離フェリーに乗り降りするときに、いつも思い出す言葉がある。
「旅は男の船であり、同時に港である。」
別に意味を深く考えたこともない。 誰の言葉かも、思い出せない。
むかし北海道のどこかの安宿で会った人に聞いた言葉だったような気がする。
船をおりる。札幌市内の常宿までは急がずとも走ると小一時間で着く。
明日の予報、雨。
DAY03につづく