春日大社に初詣。

遅ればせながら、奈良の春日大社に初詣。

春日大社が創建されたのは今年「平成二十八年」から数えて
1248年前の「神護景雲二年」。

草を食む鹿と石灯籠の参道を抜け、丹塗りの鮮やかな「南門」をくぐると
本殿がありますが、今年は20年に一度の「式年造替」で、
四柱の神様は本殿左手の「御仮殿」に移られてました。
(因みに石灯篭の数え方は1基(キ)、神様は1柱(ハシラ)です)

武甕槌命(タケミカズチ)・経津主命(フツヌシ)の神様はそれぞれ
茨城県の鹿島神宮、香取神宮からのご勧請、
同じく天児屋根命(アメノコヤネ)とその比売神(ヒメ)は
東大阪の枚岡神社からのご勧請。
なお、枚岡神社は藤原氏のご先祖さまの「中臣氏」の氏神です

ところで。

平城京に遷都してくるまでこのあたり一帯を支配していたのは「和邇氏」で、当時その氏神であった
春日大社の御神体は本殿の向こうにある「三笠山(御蓋山)」そのもの。

それがいつのまにか遷都とともに藤原氏がゴニョゴニョ…

…きっと1300年も歴史があるといろいろあるのでしょうが、
あまり深く考えず、また不相応な願い事もせず、
身近の大切な人たちの健康に感謝を申し上げ、頭を下げてまいりました。

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謹賀新年

あけましておめでとうございます。

ながらく停滞していた当ブログですが、
本日より「Festina lente」、
ラテン語で即ち「悠々と急げ」を
座右の銘に、鋭意再開したいと思います。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

平成28年 元旦

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世界の道#5 El camino de la muerte (ボリビア)

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英訳すると「The road of the death」、すなわち「死の道」と
呼ばれる道が、南米ボリビアの事実上の首都、ラパスのすぐ近くにある。
ラパスの郊外、農作地であり保養地でもあるユンガスという町に続く道であり、
「ユンガスの道」とも呼ばれ、あるいは「世界最悪の道」などとも喧伝される。

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100年以上前、隣国パラグアイの戦争捕虜によって
アンデス山中、数百メートルの断崖絶壁に作られた道で
道幅は車一台分しかなく、ガードレールなどない。
当然未舗装路なので雨が降ると路肩が崩れやすくなり、
濃い霧が発生し、視界も極端に悪くなる。
他に道はないので、こんな道をバスやトラックが往来せざるをえない。
こんな道が数十キロ続くのである。

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落下事故が多発し、一年当たり100人近くが死亡するので、
「El camino de la muerute /エル・カミノ・デ・ラ・ムエルテ」
(=死の道)」と呼ばれ、道沿いには慰霊の碑が連なっている。

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現在はユンガスへ行く道幅の広い新たな道が作られており、
今はこの道をバスやトラックが通ることはなくなっているが、
この危険な絶景が、ある種の凄みを醸し
今でもアドヴェンチャラスな旅を好む海外の旅行者を惹きつけている。

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世界の道#4 Transamazônica (BR-230/アマゾン横断道路/Brasil)

「Rodovia Transamazônica」。
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現地ポルトガル語では「ホドビア トランザマゾーニカ」と発音し、
英訳すると「Trans-Amazon Highway」、即ち「アマゾン横断道路」。
その名のとおり世界最大のジャングル、アマゾン熱帯雨林を東西に横断している
ハイウェイで、国道としての総延長距離は4200kmに及ぶ。

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ハイウェイとは名ばかりで、開通から40年以上たつ今でもその大部分が未舗装路で
原始の時代から続く深く厚い緑の壁と、赤い土の眩耀が遥か彼方まで続く。
大地は波状にうねり、さながらジェットコースターのように
底まで落ちては這い上がり、頂上で一息つくとまた足元は目もくらむ傾斜・・・

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川に架けられた橋 -時にはただの丸太だったりする- を
いくつもわたって突き進んでゆく。

アマゾンの赤土は乾燥すると非常に細かい粒になり、
遥か地平線に赤い霧がもうもうと立ち上がると、トラックが近づいてくるのが分かる。
白昼でもライトをつけて走らねばならぬほどの赤い土煙とすれ違うと
バイクも人も、樹も標識も、何から何まで赤く染まる。
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幸い私は雨に当たらなかったが、一度豪雨が降ると
道路は冠水どころか川となり、粘土質の滑りやすい土と相俟って
四輪駆動車ですら流されてしまうこともあるらしい。
この熱帯雨林が雨期に入るともはや道ではなくなる。
自分の撮った写真でなくて恐縮だが、こんな状態になるようだ。

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熱帯のジャングルを一日走り、へとへとに疲れ果てた夕暮れ。
赤道に近いので、ほぼ朝6時に日が昇り、ほぼ夕方6時に日が沈む。
頼りにしていたガーミンGPSに「町」と表示してある場所に辿り着くと、
そこには赤茶けた十字架がひとつ、ぽつんと立っているだけの墓地だったときの
絶望感は忘れられない。

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そして日没。
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得体の知れない動物の咆哮や呻き声。
ひたひたと迫ってくるように聞こえる足音。
何かが息を殺してこちらを見ているような気配・・・

ジャングルの真ん中で夜が迫ってくる恐怖をどう伝えようか。

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世界の道#03 Tail of the Dragon(US129/North Carolina/USA)

アメリカ合衆国東部、アパラチア山脈。
穏やかな曲線を描く優美な山容はどこか日本の山々にも似ているが
その谷は深く、かつて開拓者たちの西進を阻んだきた険しい山。
革新的な北部と保守的な南部との対立 -南北戦争- を狭間で見つめてきた
アメリカに屹立する歴史と文化の分水嶺。

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この山脈の南方、「Deal’s Gap」と呼ばれる谷を
南北にまたぐように走る国道、US129号線。
11マイル(約18km)の間に318のカーブがあることを喧伝する
この全米でもっとも曲がりくねった道は
Tail of the Dragon (ドラゴンの尾)」の異名を持つ。

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そのドラゴンの尾を中心に、近辺には
CHEROHALA SKYWAY(チェロハラスカイウェイ)、
MOONSHINER 28(ムーンシャイナー28)など、同様の異名を持つ道が散在している。
中にはDEVILS TRIANGLEなど、やや大げさなあだ名を付けられている道もある。

その威圧感のある呼び名とは裏腹に、
周辺は「Deal’s Gap Motorcycle Resort」という
ロッジやカフェ、キャンプ場、ガソリンスタンドなどが整備された
ツーリングスポットになっており、老若男女のオートバイ愛好家が集う。
弾丸のようにかっ飛ばしてゆくスポーツ車から、
大河のようにゆったりと流してゆくクルーザーまで、
よく整備された美しい山道を、それぞれのペースで走っている。

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パーキングの一角にある 「Tree of Shame」。
不幸にも「ドラゴンの尾」に打ちのめされたライダーたちは、
立ち上がり、再び走り始めたモニュメントとして、壊れた部品をこの木につるして行く。
羞恥の樹、あるいは慙愧の樹とでもいうのかだろうか。
自嘲を込めた言葉は「No gain, a lot of pain!!!!」 -痛いだけ、得るものなし!- 。

北へ行く道はダム湖の横を掠めるように走っている。
ライダーたちはエンジンを切り、ゆっくりとヘルメットを脱いで
空を仰ぎ、笑い、語り合う。どれほどの距離を走ってきたのだろうか、
ゆっくりと、どことなく重たそうに体を動かしてオートバイから降りる。

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アパラチア山脈周辺には他にも稜線に沿って走る長く、美しい道があり、
古き良きアメリカ南部 -それは白人社会からの一方的な見方にすぎないが- を
肌で感じながら走っていくのは非常に感慨深い。それはまた別の機会に。

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